馬貴派八卦掌、もし戦ったら。

武術というものは、人間の身体運動の極みを体現するものです。
でないと、あらゆる状況下で、生き延びることができないから。
ワン・ツーのパンチのサバキ。
先ずもって武術にサバキやディフェンスはありません。
先ずは、如何に高速で、位置移動するか。
この場合の位置移動は、垂直方向です。つまりは落下。
落下運動の、速度0からの加速度以上に早い加速度は、人間の身体運動ではあり得ません。
つまり、どんなに速いワン・ツーが来ようとも、本当の武術家は、もっと速く動いて、ワン・ツーパンチの射程にはいなくなります。
馬貴派八卦掌の走圏は、この落下運動の発現を促すものです。
つまりは『沈』する事。
そういう走圏の練りか方をしないと、何年経っても、武術としての強さが出てきません。
もしワン・ツーが来た時に、穿掌の手法をしてたら、それはまるで、剣を突き出してボクサーと相対しているとの同じで、しかも動き出しはボクサーより圧倒的に速く、そしてその動き出しは相手には感知できない。
さらには、走圏を練ることで、脳機能のバージョンアップが起こりますから、こちらは相手の動きや気配を感知する能力が格段に上がる。
その様になっていくように走圏を練らなくてはいけません。
おそらく、馬貴派八卦掌やってる人達の多くは、そうした方向に進んでいける様には、練れてないと思います。
何故走圏によってその様な能力を養っていけるのかは、力学的に、脳科学的に、脊柱等にフォーカスしたバイオメカニクス的に、さらに身体の構造的(筋や膜や血流等)に、等の観点からきちんと理解・説明できます。
馬貴派八卦掌が、技激の面と養生の面両方で、大きな効果をもたらすということを、科学的な概念で理解・説明できます。

以下、参考までにですが。
かつて確かお正月番組だったと思いますが、沖縄の御殿手の上原先生(この方はホンマモンの達人でした)がボクシングのバンタムの世界チャンピオンだった薬師寺と相対するという企画がありました。
薬師寺がどんなにパンチを打っていっても、上原先生は当たらないというか、パンチが出せない。打とうとしたらそこにいない、打とうとしたら目の前至近距離に詰められてるとか上原先生は攻撃は一切しないで。
しばらくして、じゃあこれから私も攻めるよ、というところで映像は終了。
その後の結果は、想像に難くない。
馬貴派八卦掌が戦った場合どんな風になるのかは、上原先生の武術を観ればよく解ります、
相手は何もできないで、ただ壊滅的に破壊される。
高速の重心の落下によって、地面から反力が生まれて、その反力を運用して、あらゆる方向に最速で動きます。
本当の武術の動きは、動き出しが最も速度が大きいのです。
他の運動は、動き出しからレイコンマ何秒かしてから、最高速度に達します。
ここに違いがあります。