武術の「要訣」って?

中国の武術では「要訣」とかいって、その武術で大切とされる、言わば原理・原則のような内容を、しばしば四文字熟語の形式などで、つらつらと表し伝えられています。
日本の武術でも、極意歌とかの形などで、同じく。日本の武術で言うと、最も精緻にそしてレベル高く、かつ具体的に表されているのが、実はかの有名な宮本武蔵による「五輪書」。
ところがご多分に漏れず、「要訣」とかに表されている内容を、しっかりと武術の鍛練に活用できているかというと、ほとんど活かしきれていないのでは。
抽象的表現や比喩表現が多いから。
がしかし、そこに現代の科学、例えばバイオメカニクスなどのスポーツサイエンスの理論を照らし合わせると、グッと具体性を帯びてくる。
はハァ、名人はこんな風に動いていたのかとか。
でも、まだまだそのレベルでは、「要訣」とかに隠された内容を、充分に汲み取ったことにはなりません。
人間の意識、しかも身体意識をも包含した運動科学を照射すると、正しくその全貌が照らし出されます。
運動科学とは、高岡英夫先生によって創始された学です。
「含胸亀背下端腰」という「要訣」。これこそは正に、武術に不可欠の体幹とその動き・機能を造るためのものに他なりません。